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教育人文学部

読んではいけない「文学作品」


名作と言われて素直にそれをうけいれてしまって、本当によいのか? もしかしたら、社会に悪影響を及ぼす迷惑な作品かもしれない。そんな“迷作”リストを紹介します。リスト内容は随時追加されますので、時々のぞいてみてください。
2025年月12月17日 更新

ラフカディオ?ハーン「耳なし芳一のはなし」(『怪談』から)

今から七百年あまり前のこと、下の関海峡の壇の浦で、長らく天下の覇を争っていた源平両氏のあいだに、最後の決戦がたたかわれた。(平井呈一訳)

朝ドラに便乗してみました。

長年私は、芳一は寺の小僧かなにかだと思っていたのですが、原作をよく読むと、琵琶の妙技にほれ込んだ和尚が寺に引き取っただけの居候にすぎないではありませんか。

それに、怨霊退散が目的ならば、建物の出入り口にお札を貼るとか、結界をはるとかすればよいものを、なんでわざわざ芳一の全身に経文を書く? しかも耳だけ書き忘れるなんて、あきらかに不自然。

これは臭いますね…。

まる裸になった芳一。筆をもった和尚と小僧のふたりが、「芳一の胸といわず、背中、頭、顔、うなじ、手、足と――五体のうちは残るくまなく、足の裏にいたるまで、いちめんに般若心経を書きつけた」…。男3人が何をしているのでしょう。

怨霊は祓えば消えます。しかし、生きた人間は、やってくるかもしれない。可愛い芳一に虫がつかないようにするためには、傷をつけてしまえばいい。そんな和尚のゆがんだ愛欲が透けて見えます。

「重々わしが悪かった。……しかし、いまさら悔やんだとて、せんないこと。このうえは一刻も早う、その傷をなおすことじゃ。」

しらじらしいぞ、和尚…。(選者:小林実)

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